「理想の家を建てたい」と思ったとき、多くの人がぶつかるのが「予算の壁」です。我が家もその例外ではなく、理想の間取りを考えて大手住宅メーカーを訪ねたものの、提示された見積もりは4,000万円。しかし、私たちの予算は2,500万円。そこで視点を変え、地元の工務店と相談することで、ガレージ・外構込みで2,500万円以内に抑える事ができました。本記事では、限られた予算の中で理想の注文住宅を実現するための戦略や、こだわったポイントをご紹介します。土地を取得したのが2014年、家を建築したのは2015年なので、現在は材料費や人件費がインフレにより多少高くなっていると思いますが、これから家づくりを考える方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
土地購入までの道のりはこちら。

注文住宅を考えたきっかけ
我が家が注文住宅を建てることを決意したのは、第一子が成長し、また第二子の懐妊がきっかけでした。家族が増えることで必要なスペースや快適な住環境について改めて考える機会となり、思い切って新築することを決意しました。
私達は築30年の中古物件を購入し、すでに持ち家で「お金をかけるべきところ」と「こだわらないところ」を話し合っていました。間取りについても、中古物件を所有してみてわかった経験から、ある程度理想があったのでそれを無料の間取り作成ソフトで作成しました。

これをもとに、希望に寄り添ってくれ、さらにそれを上回る提案をしてくれるハウスメーカーを探すことにしました。
住宅展示場で大手メーカーを回るも撃沈
理想の間取りを具体的に考え、それを基に大手ハウスメーカーの展示場を訪れました。大手メーカーの広々とした住宅を見ていると営業さんが話しかけてきてくれます。
土地を持っている事を言うと、試しにプランを考えてみます、とのこと。そこで、私の考えている間取りを提示してみましたが、渋い顔。というのも、彼らはいくつかある間取りの中から私の提案に近いものを進めるだけで、私の間取りに対して「もっとこうした方が良い」といったプロとしての提案ができなかったのです。
更に、断熱性能にこだわっていることと、断熱素材についても、それぞれのハウスメーカーは(当時は)全くこだわっておらず、回答を濁されてしまいました。さらには床に無垢材を使いましょうとか、私達には興味がない内容ばかり淡々と説明されるだけでした。
住宅を見に行ったら、すぐに「ご年収は?」って聞かれ、「余裕で返せると思います」なんて言われて、提示された見積もりは4,000万円。更に唖然としました。
よく言われていることですが、大手ハウスメーカーに行くと、商品券とかブランド牛のギフトを貰えるんですよ。子供にはトミカまでついてくる。当然、大手メーカーはテレビCMにもコストがかかっていることもあり、私達の希望した予算と大きくかけ離れていました。この時点で、大手メーカーでは理想の家を実現するのが難しいと判断し、他の選択肢を模索することにしました。家を建ててみてわかったのですが、どのハウスメーカーで建てたかってのは、大して重要じゃないということに気が付きます。せっかくの注文住宅なので、自分の理想を理解してくれるハウスメーカー選びが最も重要だと思いました。
地元のハウスメーカーとの出会い
そこで視点を変え、地元のハウスメーカーとに相談してみました。すると、大手メーカーよりもはるかに柔軟な対応が可能であり、こちらの希望をしっかりと理解してくれることが分かりました。
注文住宅のこだわりポイント
断熱性能の向上
住宅の快適性を大きく左右するのが「断熱性能」です。日本の住宅は断熱性能が低いケースが多く、寒暖差が激しい地域では快適な住まいを維持するのが難しい場合があります。今回は以下の点にこだわりました。
- 高性能な断熱材を使用(スタイロフォーム+ウレタンフォーム)
- 窓はペアガラス+樹脂サッシを採用
現在では割と当たり前の性能となりつつありますが、これにより、冷暖房のコストを抑えつつ、年中快適な環境を実現しました。断熱性能は日々進化しているので、これは2015年時点での話ですが、スタイロフォーム+ウレタンフォーム吹付けの断熱をするのは寒冷地仕様の住宅のみで、関東地方ではかなりレアだったと記憶しています。また、これだけの仕様だと基礎断熱工法がセットになる提案をされたのですが、シロアリ対策として基礎部分には断熱せず、床で断熱する方がリスクが低いと考えて却下しました。
いろいろ勉強して打ち合わせに望みましたが、私達が気にしている要望を受け止めて提案してくれるハウスメーカーで良かったと思います。
間取りの工夫
築30年の住宅での経験を活かし、以下の間取りを意識しました。
- 家事動線を最優先(回遊動線を採用)
- 家族の成長に合わせて柔軟に対応できる可変間取り
- 収納スペースを十分に確保(パントリー・ウォークインクローゼット)
- 共働きのため、洗濯物を干す室内スペースがほしい
- 書斎はマスト(コレは、後のコロナ流行の際に大いに役に立ちます)
- 夫婦の寝室+子供部屋2つ+屋根裏部屋(倉庫や緊急来客時に活用)
- トイレと洗面台は絶対2つ(共働きなので朝が忙しい)
これにより、日常生活のストレスを軽減し、長く快適に住める家を実現しました。
外構の工夫
土地の広さを活かし、ガレージと外構のデザインにもこだわりました。ただ、こちらに関してはハウスメーカ-から、家を建てた後に、直接業者を探した方が安くなると思いますと言われたので、それに従うことにしました。
- ガレージが欲しい。ただしビルトインガレージにすると、騒音が気になるので離れのガレージ一択
- カーポートが欲しい(地方都市なので車は一人一台必要で、霜が降りるのを防ぐためにカーポートはマスト)
- 雑草の手入れが面倒なので花壇などは不要。木も植えない。土は全部砂利で防草シート加工もしくはコンクリで埋めて欲しい
コストを抑える工夫
さて、色々理想を述べましたが、結局全部コミコミで住宅の見積もりは2,000万円、外構(ガレージ、土地改良工事含む)が500万円でした。先程のこだわりポイント以外に関してはお金をかけずに進めました。これが功を奏して予算を抑えることができました。こだわらなかったモノを上げると以下になります。

私達がこだわらなかったモノ
- ユニットバス、洗面台とトイレ(標準仕様で十分)
- 床材と壁紙(賃貸相当の床材や壁紙であればかなりコストが抑えられる。リビングは少し高めのやつにしましたがその他の部屋は標準仕様)
- 吹き抜け(部屋が無駄になる)
- 住宅は長方形。奇抜な形にしない
- キッチン(標準仕様で十分)
地元のハウスメーカーであれば、このあたりの「上乗せ分」が少ないため、コスト的に有利になります。
予算の設定と資金計画
以前住んでいた中古住宅を売って、土地はすでに購入済みであったたため、新築するにあたり予算は2,000万円かな、なんて漠然と思っていたのですが、見積もりを進めると外構込で500万円オーバーしてしまいました。ローンは30年で、月々の返済額を抑えつつ、同時に資産形成も進める計画です。
以前は住宅ローン控除が1%で、ローン金利より帰って来る額のほうが高いのもOKでした。よって、住宅ローン控除が有効な10年はそのまま借り続け、どこかで一括返済を予定しています。
私達は1,250万円で取得した中古住宅に住み、住居費を抑える(売却時のトータルで住居費は実質無料)戦略を取りました。結婚後から夫婦で合計月10万円を貯蓄していましたが、それに加えて家賃を支払った「つもり」で毎月6万円を貯蓄に回していました。
結果、新築住宅を購入する時には手元資金が1,000万円程ありましたので、そこから頭金を200万円、2,360万円を借り入れる予定で計画を練りました。
変動金利と固定金利を半分ずつ借り、月々の返済は8万円程だったと思います。更に5年後に預金から600万円の繰り上げ返済を実施し、現在の月々の返済額は5万円です。家計に対する住居費の設定を低く抑え、投資に回すことを狙い、返済期間は変更せずに月々の返済額を小さくする選択をしました。これで住居費負担が更に減り、入金力がUPし、後の資産形成に大きく貢献することになります。
予算内で理想を実現するためのポイント
注文住宅を予算内で建てるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
工務店選び
- 大手メーカーだけでなく、地元の工務店も比較検討する
- 施工実績や評判をチェックし、信頼できる工務店を選ぶ
- 設計士との相性を確認し、理想を具体化できるか見極める
コストの最適化
- 標準仕様を活用し、無駄なアップグレードを避ける
- 施工の簡略化でコストを削減(直線的なデザインを意識)
- 外構や設備の費用を最初から計画に含める
資産形成とのバランス
住宅ローンを組む一方で、資産形成も同時に進めることが重要です。
- 頭金を抑え、手元資金を確保
- 住宅ローン減税や補助金制度を活用
- 運用可能な資金は投資に回し、長期的な資産形成を考える
まとめ
最初は「予算2,500万円で注文住宅を建てるのは難しいのでは?」と思いましたが、地元の工務店とじっくり話し合うことで、理想の家を予算内で実現することができました。特に、断熱性能を高めることで快適な住環境を手に入れ、ランニングコストを抑えられたのは大きなメリットです。
注文住宅はしっかりとした計画と情報収集が成功のカギ。住宅メーカーだけでなく、地元の工務店にも目を向けることで、より現実的な選択肢が見えてきます。予算内で満足のいく家を建てるために、ぜひ参考にしてみてください。
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