【退職まで3,167日】
子供の教育資金を、株式と投資信託でためてきた。この話をすると、少しだけ空気が止まることがある。教育資金は減らしてはいけないお金であり、値動きのある資産で持つのは危うい。そう考える人は多い。実際、その感覚はよくわかる。ただ、家計の現実は、いつも教科書どおりではない。うちには子供が二人いるが、上の子の教育資金の話に限って書く。
大学費用の足しになればよいと思って投資を開始
上の子の教育資金づくりの起点になったのは、子供が生まれたときに存命だった祖父から、祝金としてもらった100万円である。それを、子供名義の証券口座に、トヨタ株と全世界株に分割して投資したのがきっかけ。私は、個別株でちょこちょこ投資はしていたものの、住宅ローンを組んだばかりで、返済を優先させるため、積立を休止していた。子供が二人になったあと、追加で毎月2万円を、2014年以降は、ジュニアNISAを使って積立続けた。さらに、お年玉など子供に入ってきたお金も、使わずにそのまま回してきた。
海外で生活することになったため、約3年前に積立を終了して放置している(SBIでの買い増しが不可)が、2026/04/28現在、上の子の教育資金として見ている資産(現金除く)は約621万円になった。

後半、ジュニアNISAで購入したトヨタ株は振るわないなぁ…教育資金というお金には、独特の圧力がある。老後資金であれば、まだ調整の余地がある。使う時期も幅があり、支出水準も自分である程度は変えられる。
一方で教育資金は、使う時期が比較的はっきりしている。受験、進学、入学といった支出は先送りしにくい。しかも、影響を受けるのは親ではなく子供である。親の判断が、そのまま子供の選択肢に触れてしまう。だから教育資金は、損をしてはいけないお金として語られやすい。
この前提自体は間違っていない。問題は、その前提がそのまま「だから現金で持つのが正しい」という結論につながりやすいことである。
そこでは、別の不確実性が見落とされている。教育資金は、10年単位で準備することが多い。その間に物価は上がり、学費も上がる。元本が動かないことと、必要なときに十分な購買力を持っていることは同じではない。つまり教育資金をどう持つかという問いは、値動きを避けるかどうかではなく、どの種類の不確実性を引き受けるかという設計の問題である。
株式は短期では不安定である。だが、長期では時間を味方につけやすい。それに期待して、10年単位で寝かせればなんとかなるだろうと思ったのである。自分の場合、上の子の教育資金を株式で持つ判断をしたのは、投資で大きく増やしたかったからではない。長い時間をそのまま現金で寝かせておくことのほうに、むしろ不自然さを感じていたから。たぶん重要だったのは、銘柄選びの巧さよりも、家族の中で発生したお金を、長い時間そのまま市場に置いていたことのほうである。
少しハイリスクだけどトヨタを選んだ理由
もっとも、個別株としてトヨタを選んだことには、自分なりの理由もあった。トヨタは、日本を代表する企業である。東日本大震災のときにも感じたが、日本の製造業を支える土台の一つはやはりトヨタなのだと思っていた。だから単なる値上がり期待というより、日本の産業を支える企業を応援したいという気持ちがあった。長く持つ前提のお金であれば、自分が何を信じているのかは意外と無視できない。
教育資金の準備というと、親の愛情や責任感の話に寄りやすい。もちろんそれはある。だが現実には、時間をどう味方につけるかという側面も大きい。
私自身は、十分な運用期間があることを前提に、教育資金の一部を全世界株式や個別株で運用してきた。ただし、教育資金は使う時期が比較的はっきりしているお金であり、誰にでも同じ方法が合うとは限らない。
個別株や株式投資信託での運用は元本割れの可能性があり、家庭ごとの資産状況、運用期間、リスク許容度によって判断は大きく変わる。この記事は、あくまで私自身の経験と考え方の記録である。
※本記事は筆者個人の経験や考え方をまとめたものであり、特定の金融商品や投資方法の購入・売却を推奨するものではありません。投資には元本割れを含むリスクがあります。実際の投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
