2024年12月。44歳で準富裕層に到達。数字としては一つの節目である。ただ、感覚としては、何かを達成したというより、ようやく1億を目指すための土台ができた、というほうが近い。資産形成の話は、どうしても分かりやすい成功談に寄りやすい。どの銘柄を買ったか。どのタイミングで投資したか。何倍になったか。そういう話のほうが、読み物としては派手である。しかし、実際にここまで来て思うのは、資産形成を決めるのは一発の正解ではないということである。
家計の構造、固定費の重さ、夫婦で同じ方向を向けるか、余計な判断を減らせるか。効いてくるのは、そういう地味な土台である。今回は、44歳で準富裕層に到達するまでの道のりを振り返る。
20代は、増やすより先に、家計の基礎を作る時期であった
20代の頃に意識していたのは、とにかく貯める力を作ることであった。今のようにインデックス投資が広く浸透していたわけでもなく、NISAもまだなかった。だから当時は、投資で大きく増やすというより、まず家計を崩れにくくすることのほうが重要だった。
当時から続けてきた基本はシンプルである。
毎月の貯蓄を優先し、ボーナスもなるべく使わずに回す。生活水準を無理に上げず、固定費を重くしない。資産形成というより、資産形成ができる環境を整える作業に近かった。
この時期に大きかったのは、住宅費を抑えたことである。
若いうちに高すぎる住居コストを背負うと、その後の選択肢がかなり狭くなる。逆に、住居費がコントロールできていれば、収入がそのまま余白になりやすい。
20代では、投資の技術よりも、生活コストを暴れさせないことのほうが効いた。
今振り返っても、これはかなり本質的だったと思う。増やす力の前に、減らされにくい家計を作る必要があったのである。

30代は、貯蓄を意思ではなく仕組みに変える時期であった
30代に入ってから意識したのは、頑張って貯めるのではなく、勝手に残る形に変えることであった。
私の家計では、給与天引きの先取り貯蓄を軸にした。先に貯める分を外に出してしまい、残りで生活する。言い方を変えれば、「収入から余ったら貯蓄する」のではなく、「最初に貯蓄して、残りで生活を設計する」という順番にした。よくあるやつ。私も例外ではなく、人間は、あるお金があると使ってしまう。意志の力で毎月残そうとすると、景気や気分やイベントに簡単に負ける。だから必要なのは自制心より順番である。
さらに大きかったのは、共働きという前提を家計設計に組み込めたこと。我が家では、妻の収入を基本的にすべて貯蓄と投資に回してきた(私が43歳になるときに、海外転勤することになり、妻は退職したのでそれ以降は私の収入のみとなってしまったが)。
もちろん、これは単純に数字だけの話ではない。夫婦で価値観が揃っていなければ続かないし、どちらか一方の我慢で回すと歪みが出る。資産形成は、金融商品の選定以前に、生活と合意のデザインである。30代でやったことを一言で言えば、家計を「気合いで回すもの」から「自動で回るもの」に変えたということである。準富裕層に届くための基礎体力は、この時期にできた。

30代終盤から、NISA(新NISAができた今でいう、旧NISA。2019年から使い始めた)を使いながら、全世界株式への投資を続けてきた。資産形成の加速という意味で、やはり大きかったのはここである。投資が今の資産の土台になっている。
最初から強い確信があったわけではない。ただ、個別株での失敗は、2009年から一通り味わいまくったので、勝ち続ける能力が自分にあるとは思わなかったし、景気や相場を読み続けることにも向いていないと感じていた。自分の判断力に過剰な期待をしないほうがよい、という感覚があった。
綺麗事に聞こえるかもしれないけど、私の株式投資戦略は、『私達を取り巻くいろんな問題は、困難で複雑。だけど、なんやかんやあっても長期的には「明日は今日よりいい明日になる!」って全世界中の人が知恵出して、努力して、解決策を考えて、希望を持ち、実現する、ということに賭ける』だ。
投資では、何を買うか以上に、余計な判断をどれだけ減らせるかが効く。
上がったから不安になる。下がったから怖くなる。ニュースを見て方針を変えたくなる。人は、動ける余地があると、だいたい余計に動く。
その点で、全世界株式は自分に合っていた。細かく考えすぎずに済む。完璧でなくても続けられる。派手さはなくても、壊れにくい。資産形成では、その壊れにくさのほうが重要である。
2024年12月時点(44歳時点)の資産内訳
2024年12月時点の資産内訳は以下の通り。
日本円 10,451,645円
米ドル 61,939円
国内株式 6,693,975円
国内債券 120,992円
外国株式 35,979,802円
外国債券 2,899,902円
コモディティ 1,038,745円
年金 3,135,945円
負債 -10,464,565円
合計50,468,380円。
全世界株式への投資が、いまの資産形成の中心になっている。一方で、すべてを株式に振り切っているわけではない。生活防衛資金として、日本円も一定額を持っているし、債券やコモディティ、iDeCo年金もある。住宅ローンの負債もまだ残っている。
準富裕層に到達して見えたこと
準富裕層に到達して思ったのは、「あ、純資産5000万こえた」という感じで、それほど感動はなかったと記憶している。そもそも、気がついたのは月に一度の資産チェックのタイミングだし。生活水準も、何も変わらん。仕事は相変わらず面倒だ。
これはゴールではない。むしろ、ようやく1億を目指せる土台ができた、という感覚のほうが近い。
20代で貯める力を作り、30代でそれを仕組みに変え、蓄えた資金を全世界株式へ投資してきた。その積み上げが、ようやく次の桁を視野に入れられるところまで来た、というだけである。
1億という数字は簡単ではない。相場環境にも左右されるし、時間も必要である。これから先、何度も上がり下がりはあるだろうし、自分の気分も市場も思った通りには動かない。それでも、家計の構造、継続できる投資方針、生活水準を必要以上に引き上げない感覚、このあたりの土台はかなり固まってきた。準富裕層に到達したこと自体より、この土台ができたことのほうが大きい。
やってきたことはかなり地味である。給与天引きで先に貯める。共働きで、妻の収入は基本的にすべて貯蓄に回す。住宅費を抑える。全世界株式に投資し続ける。一度決めた方針を続けるだけ。
準富裕層はゴールではない。1億を目指すための土台ができた。
